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子どもたちのために教師ができること
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「ブラック」だったかもしれない――だが「熱」と「誇り」に満ちていた!
青春ドラマの金字塔『スクール・ウォーズ』にゆかりのある京都の“荒れた”公立中学校に赴任し、悪戦苦闘しながら人権教育、道徳教育、校長職に明け暮れた“伝説の教師”が駆け抜けた37年間の現場ノート!
昨今、教師の働き方が見直され、遅くまで家庭訪問をすることは少なくなったと聞く。部活動の時間が大幅に縮減され、勤務時間外に生徒と関わる場面も極端に少なくなったようだ。間違いなく、生徒と関わる時間は、私たちの時代とは比べものにならないほど減ってしまった。
「私たちの頃は……」と、昔のことをノスタルジックに語るつもりはない。しかし、教育の世界から学習指導や生徒指導に注ぎ込む「熱」と「誇り」とを決してなくしてほしくはないのだ。
教師という仕事が「ブラック」だと言われて久しい。労働時間に目が向けられてそう言われているのだとすれば、確かにそうかもしれない。しかし、教師がサラリーマン化し、生徒の内面や家庭に深く入り込んだ指導をしなくなったことで、あの頃の私たちが感じた〝よろこび〟を感じられていないとしたら、それが教職のブラック化の原因の一つになっているのかもしれない。そして、もしそうであれば、それは日本の教育にとって、そして、今後の日本社会にとって大問題である。(「はじめに」より)
(本書の内容)
第1部 人権教育と道徳教育
1 人権教育との出合い
教員四年目で校区に被差別部落のある中学校に赴任/ヤジが飛び交う着任式/同和地区生徒のいるクラスを担任/定期テスト前にクラスの全生徒へ家庭訪問/「先生も部落か?」/教室内での授業からの脱却/人権劇の取組の背景/人権劇がNHKで紹介/同和教育の普遍化の取組
2 道徳教育の実践
人権教育と道徳教育とがつながった瞬間/横山利弘先生との出会い/学年道徳/ジョイント道徳/保護者道徳/ローテーション道徳
3 人権教育と道徳教育との結合
人権教育と道徳教育の目的/「校長先生、生徒って授業の中で泣くもんなんですね」/「友達の隠されていた思いや気持ちを知ることができて嬉しかった」/広島カープに復帰した黒田博樹投手を題材にした道徳授業
4 人権教育や道徳教育は「子どもの心の土を耕す」時間
雰囲気(ムード)づくりの大切さ/「百聞・百聞は一体験に如かず」後継者の問題/道徳の時間は漢方薬/心の土を耕す時間
第2部 校長として過ごした十一年間の記録
校長として大切にしてきた九つのこと
1 京都市立花山中学校時代
教育委員会から花山中学校の校長へ/初めての職員会議/逮捕された生徒が始業式に登校してくる/生徒が窓から飛び降りた/初めての学校祭/初めての卒業証書授与式/『ROOKIES』のような学校生活/少年院からの手紙/運動部顧問による体罰事件
2 京都市立向島中学校時代
偏見と現実とのギャップ/道徳教育を中心に据えて/小中一貫教育校の創設に向けて/「南風は吹いたか」
3 京都市立二条中学校時代
人事への不満/新しい出会い/体育祭と修学旅行での嬉しい発見/特別活動と保護者や地域との連携/研究発表会と学習発表会/コロナ禍/禁止された合唱/還暦祝い/退職祝い/最後の生徒対象の道徳授業/最後の卒業証書授与式/離任式/十一年間の校長生活
澤田清人(さわだきよと)
京都光華中学校高等学校校長。昭和(1961)年京都府生まれ。京都教育大学教育学部卒業後、京都市立中学校に勤務。人権劇の取組がNHK教育テレビ『わくわく授業』、総合テレビ『人間ドキュメント』で紹介される。その後、京都市教育委員会指導主事、京都市立二条中学校校長などを歴任。長年、人権教育、道徳教育の研究・実践に取り組み、京都市中学校教育研究会人権教育部会会長、京都市中学校教育研究会道徳教育部会副会長を務めた。定年退職後、京都市教育委員会教員養成支援室専門主事、京都産業大学教職課程教育センター職員を経て、現職。京都教育大学非常勤講師、京都文教大学非常勤講師も務める。著書に『学校で学びたい日本の偉人』(共著、育鵬社)、『明日の教室5』(共著、ぎょうせい)。