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「天安門」三十年──中国はどうなる?
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「天安門事件」とは何だったのか?
それは本当に、民主化運動だったのか?
そして、再び起きるのか?
──封印していた事件の記憶がよみがえる。
中国社会の表裏を熟知し、
その歴史と現在・未来を見渡す2人が、
事件30年を機に、
“天安門の真実”を明らかにするとともに、
歴史を鏡として、
中国の今後を占う!
石平
天安門民主化運動の歴史的意味をもう一度検証し、総括してみることは、
当事者である自分の使命であるのと同時に、
あの事件で命を奪われた多くの仲間たちに対する、
生きている者の責任でもある。
いよいよ「天安門」三十年が迫ってきている中で、
私は「今がその時」と悟って、一度真剣になって自分の心の中の
「天安門」と向き合ってみる覚悟を決めた。
たとえそのことによって、今まで三十年間、
自分が何とかして保ってきた精神的バランスを
壊してしまう危険があるとしても、
やらなければならないと思った。──「まえがき」より
安田峰俊
なんだか、対談ではなくカウンセリングをおこなっているみたいだ。
私は何度かそんな思いにとらわれた。
話題が1989年6月4日の武力鎮圧のくだりになるたび、
石平氏は重苦しく沈黙し、ときに嗚咽を漏らしたからだ。
「俺はいつになったら解放されるんだ」
「中国人はこの思いを分かってくれない。
でも、どれだけ身近な相手であっても、
普通の日本人では絶対に理解できないんだ」
──この人の本当の人生は、
実は1989年6月4日に終わっているのではないか?
嗚咽を漏らし続ける石平氏を見て、
私はそんな思いが頭から離れなかった。──「あとがき」より
石平(せき・へい)
評論家
1962年、中国四川省成都生まれ。北京大学哲学部卒業。四川大学哲学部講師を経て、1988年に来日。1995年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関に勤務の後、評論活動へ。2007年、日本に帰化する。著書に『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書、第23回山本七平賞受賞)、『中国人の善と悪はなぜ逆さまか──宗族と一族イズム』(産経新聞出版)、『私はなぜ「中国」を捨てたのか』(ワック)、『なぜ論語は「善」なのに、儒教は「悪」なのか──日本と中韓「道徳格差」の核心』(PHP新書)など。
安田峰俊(やすだ・みねとし)
ルポライター・立命館大学人文科学研究所客員協力研究員
1982年、滋賀県生まれ。立命館大学文学部(東洋史学専攻)卒業後、広島大学大学院文学研究科修士課程修了。当時の専門は中国近現代史。著書に『和僑──農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人』『移民 棄民 遺民──国と国の境界線に立つ人々』(ともに角川文庫)、『さいはての中国』(小学館新書)など。編訳書に『「暗黒・中国」からの脱出──逃亡・逮捕・拷問・脱獄』(顔伯鈞著、文春新書)がある。2018年、天安門事件を題材にした『八九六四──「天安門事件」は再び起きるか』(角川書店)が第5回城山三郎賞を受賞。同書で石平氏へのインタビューをおこなったことが今回の対談につながった。