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宇宙安全保障──宇宙がもたらす恩恵と宇宙の軍事脅威増大の相克
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宇宙空間の安全と宇宙の支配=「制宙権」のゆくえは?
宇宙空間の安全を脅かすのがスペースデブリの増大と宇宙の軍事化の拡大だ。デブリは人工衛星に衝突することで、重篤な損傷をもたらし、宇宙開発に於ける深刻な問題となっている。一方、中露は米国とその同盟国の弱点が衛星通信、精密攻撃能力、情報・監視・偵察資産を利用する「宇宙能力」への依存であると深く認識し、弱点を攻撃する能力を確実に向上させている。対する民主主義国家群の反撃のシナリオとは? 国家安全保障を理解するためには欠かせない書。
本書では、ロシア・ウクライナ戦争において、民間の宇宙関連企業の活躍が目覚ましいことなども紹介する。とくにイーロン・マスクが設立したスペースXのスターリンクが戦争に絶大なる影響を与えていることを考察した。米宇宙軍は2024年4月10日、「商業宇宙戦略(Commercial Space Strategy)」を発表したが、いまや宇宙安全保障における軍と民間企業の密接不可分な連携は欠かせない。
序 章 宇宙の安全保障に関する基本的事項
第一章 イーロン・マスクとロシア・ウクライナ戦争
第二章 米国の宇宙安全保障
第三章 宇宙強国を目指す中国
第四章 ロシアの宇宙安全保障
第五章 我が国の宇宙開発
渡部悦和(わたなべ・よしかず)
元陸将。渡部安全保障研究所長、元富士通システム統合研究所の安全保障研究所長、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー、元陸上自衛隊東部方面総監。1978(昭和53)年、東京大学卒業後、陸上自衛隊入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第二師団長、陸上幕僚副長を経て2011(平成23)年に東部方面総監。2013年退官。その後も多くのメディアで安全保障問題、ロシア・ウクライナ情勢の分析などの発信、発言を続けている。おもな著書に『米中戦争 そのとき日本は』(講談社現代新書)、『中国人民解放軍の全貌』『自衛隊は中国人民解放軍に敗北する!?』(ともに扶桑社新書)、共著に『現代戦争論―超「超限戦」』『ロシア・ウクライナ戦争と日本の防衛』(ともにワニブックス【PLUS】新書)、『自衛隊式メンタルトレーニング』(ワニ・プラス)がある。