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渡部昇一遺稿 幸福なる人生──ウォレス伝
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知の巨人が最後に残したメッセージ。未完の大作。
発見された1,157枚の直筆原稿
そこには英国の博物学者ウォレスの生涯が“一人称”で記されていた。
渡部氏がウォレスに仮託して伝えたかった生き方とは──
この本は、かつて父の本を手に取って下さった方にとっては、一風変わった本である。
一人称で語っている作中の人物は父自身ではなく、アルフレッド・R・ウォレスというイギリス人である。
父の著作でこの形式のものを私は他に知らない。
では、創作かというとそうではなく、ウォレスの人生がきちんと語られているフィクションでもあるのだ。
彼は19世紀に活躍した実在の探検家であり、生物学者であり、偉大な思想家でもあった。
この本は、そのウォレスがまるで今の日本人に、霊界から自分のことを語っているような形式をとっている。
父の著作としては全く異常な作品なのである。そして残念ながら未完である。
読者の興味を損なわないよう急ぎ書き加えておくが、それでいてべらぼうに面白い作品でもある。
(本書「はしがき」──渡部昇一氏長男・チェリスト 渡部玄一氏より)
言語さえあれば、人間の魂は時間と空間を自由に行き来できる。
過去に書き残されたシェイクスピアのソネットを読めば、当時の詩人の熱情が今に蘇るように、本書、ウォレス伝を繙けば、渡部先生が私たちに伝えようとした「幸福なる人生」へのメッセージが甦るのである。
(本書「解説」──麗澤大学大学院特任教授・前学長 中山理氏より)
渡部 昇一(わたなべ しょういち)
1930年10月15日、山形県生まれ。上智大学大学院修士課程修了。ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学留学。Dr.phil.(1958)、Dr.Phil.h.c(1994)。上智大学教授を経て、上智大学名誉教授。その間、フルブライト教授としてアメリカの4州6大学で講義。専門の英語学のみならず幅広い評論活動を展開する。1976年第24回エッセイストクラブ賞受賞。1985年第1回正論大賞受賞。英語学・言語学に関する専門書のほかに『知的生活の方法』(講談社現代新書)、『古事記と日本人』(祥伝社)、『渡部昇一「日本の歴史」(全8巻)』(ワック)、『知的余生の方法』(新潮新書)、『決定版 日本人論』『人生の手引き書』『魂は、あるか?』『終生 知的生活の方法』『決定版・日本史』(いずれも扶桑社新書)、『「時代」を見抜く力』(育鵬社)などがある。2017年4月17日逝去。享年86。
訂正のお知らせ
●本書の本文に下記の誤りがありました。ここに訂正してお詫びします。
(初版第1刷)
9頁15行目:二〇一九年⇒二〇一七年